美しければいいんです
「もはやこれまでか」
日曜日、中環(セントラル)のウィンザーハウスというビル内にある最後の1軒。店のオヤジに「iPodぁ? No stock らー!」と、香港人特有の語気句をたっぷり効かせて言われた。わかったよ、オヤジ。こんな高価なブツが、香港でここまでフィーバー(ステイン・アライヴ)しちゃってるなんてな。ほとぼりが冷めるまで、しばらく iPod のことは忘るよ・・・。
帰り際、同じビル内にある映画館の上映作品をふと見ると、もう終わったと思っていた「十面埋伏(LOVERS)」がまだやっていた。正直、どうせ「英雄」と同じなんでしょと思ってはいた。がしかし、何といってもチャン・イーモウ(張芸謀)がチャン・ツィイー(章子怡)を撮るのである。二番煎じであろうと三番煎じであろうと、やはりこれは劇場で観ておきたい。そう思っていた小生は、とりあえず小躍りしながら劇場に入った(この時点でiPodの事はスッカリ忘れている)。劇場に入っておったまげた。1人掛のゆったりとしたソファーがずらっと並んでいたのだ。しかも自動リクライニング付き。席の間はかなり間隔が開いているので、思いっきり体を伸ばして映画を鑑賞できる。これで他のボロ映画館と同じ$60とは何たることよ。しばらくして照明が落ち、予告が始まる。王家衛の「2046」、成龍の「ポリス・ストーリー5」、周星馳の「功夫」という、すんごいラインナップ。9月はたっぷり楽しめそうだ。
そして「十面埋伏」がスタート。しょっぱな、金城武の大根ぶりに一抹の不安がよぎる(酔っ払って笑っているだけのシーンだったけど)。しかし、その後のツィイー扮する踊り子の登場シーンから不意打ちを喰らった。ツィイーを真正面から撮った画が、突然視界にドーンと飛び込んで来る。ただ立っているだけの画なんだが、小生はこれに完全にやられた。そしてこの後に繰り広げられるツィイーとアンディー・ラウ(劉徳華)のアクション・シークエンス。CG&ワイヤーをふんだんに使った今やお約束ともいえる非現実アクションが怒涛のごとく繰り広げられるが、そこを突っ込む気なんぞ全く起きさせないほど力強く美しいシーンだった。そこから先は、ツィイーとその背景が織り成すあきれるような美しさに目を奪われ、終始口をぽかーんと開けたままだ。字幕など読んでる場合ではない。ストーリーは三角関係+「インファーナル・アフェア」といった趣のいたって単純なもの。だけど目が離せない。「チャン・ツィイーが美しければそれでいいんだ」といったスピリットさえ感じる極上の"映像作品"だ。これは劇場で観ることを強くお勧めする。中国では「役者陣の演技力が足らんので、興行成績が伸びない」と酷評されてるらしいけど。でもいいんです、美しければ!素直にそう思ってしまった作品だ。
しかし香港のみなさん、上映中に携帯で話すのはいい加減やめようよ。。。












